九州では桜ももう散り始めてしまいました。
けれど、桜は散るときもとても美しく、白やピンクの絨毯のようですよね。

 

 

 

 

 

 

そろそろ4月14日が近づいてくると、熊本出身の私としてはどうしても熊本地震を思い出さずには
いられません。
花の美しさ、土の匂い、温かい風…すべてが記憶のスイッチをオンにして、「あの日」に連れ去っていきます。

先日、NHKで地震で命を落とした二組のご家族の姿がドキュメンタリー番組として放送されていました。

お一人は、阿蘇大橋の崩落に巻き込まれ命を落とした大学生のご家族。
お母様は今でも毎日、折り鶴を折っています。
「私が逝く時に晃のところに行けるはずだから…。そのときに持って行けるように」と話されていました。

また、被災した病院に入院中だった4歳の女の子のご家族。
病院が倒壊の危機にさらされ転院を余儀なくされて、
隣県の病院に搬送されたことにより幼い命が亡くなりました。
お母様の言葉です。
「もうあれから五年たちます。娘と過ごした時間より長くなってしまった。忘れないように忘れないようにと
思っているけれど、どんどん記憶が失われていくみたいで…。
生きてる者は毎日に追われてしまって、きょうは何もあの子に話しかけてなかったなと
はっとすることがあるんですよね。酷いですよね…」と涙で声を詰まらせてくしゃくしゃの表情で語られていました。

現在は娘さんが入院していた病院に、教訓にしてもらうためにと花壇を作り、花を植えられています。

「本当は自分も弱音を吐いたほうが楽になれるけど、私は自分の弱さに逃げたくない。あの子が一番辛かったのだから」
「けっしてあの子を、あの日に置き去りにしたりしない」と語られていたのが深く心に残りました。

確かに日々、街並みは変わり、復興へと着実に進んでいますが、こうしたご遺族や、いまだ仮設暮らしをされている方々、
震災で心に傷を受けた人たち…まだまだ、それぞれが受けたあの日の傷は、建物の復興等とは違い、なかなか癒えることは難しく、
前を向けないことも多いと感じます。
明るい復興への道筋だけでなく、未だに前を向けずにいる人たちがいることをけっして忘れずに、
毎日を過ごしていきたいと思います。

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digiport-am

音楽と本が好き。 日々、精進。

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