「きょうも一日お疲れさまでした」
「お疲れさまです。失礼します」
など…
私たちが普段、何気なく使うこの「お疲れさま」という言葉。

礼状の仕事に就いて、よく耳にするようになりました。

ご遺族が故人様へ
「お疲れさま。ゆっくり休んで下さい」という言葉を
よく使われるからです。

実は、ずっと、亡くなった方へ贈る「お疲れさま」という言葉の
思いを汲みとれずにいる自分がいました。

あまりにも日常のシーンで繰り返し使われる言葉に、
業務的で、どこか他人事のように突き放したイメージを
勝手に持っていたのだと思います。

それが(僭越ではありますが)、最近、
少しわかってきたような気がするのです…。

突然病気が発覚してしまった方、
闘病生活が長く、苦しみ深かった方、
長い人生、山あり谷ありだった方、
苦労が多かった方
…。

毎日を必死に戦い、頑張って生きてこられた故人様への
「おつかれさまでした」は、
ご家族からの最上級の愛情であり、
支えて来られた方だからこそ生まれる「よく頑張ったね」という
赦しではないかと、そう思うようになってきました。

「辛かったね。本当によく頑張ったね」という労い。
「辛かったね。もう頑張らなくていいから、ゆっくり休んでね」という赦し。
「本当にこの治療で正しかったのか」という自分を責める気持ち。
「もっと何かしてあげられなかっただろうか」という尽きぬ思い。

たくさんの葛藤や日々を乗り越えて生まれる
「お疲れさま」という言葉。
そう思うと、なんと深い言葉なんだろう…と思います。

私はちっとも分かってなかったなぁと、しみじみ反省してしまいます。   

もちろん、私達がご家族の気持ちを「分かります」というのは僭越ですし、
本当の意味で分かるわけがありません。
故人様との思い出はご遺族のものです。

ただ、ご依頼を頂き、故人様の生きざまや姿、ご家族の思いを
原稿にしたためる以上、できるかぎりその思いに寄り添い、
汲み取りたいと思っています。

オリジナル礼状は通夜や葬儀、告別式に参列して頂く方へ
向けた御礼状ではありますが、同時に、
家族から故人様へ宛てたラブレターでもあると、
個人的に考えています。

どうか私たちにたくさんのお話を聞かせてください。

「お疲れさまでした」の言葉にこめられた深い愛を
原稿にできるように、私たちも日々、
励んでいきたいと思っています。

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digiport-am

音楽と本が好き。 日々、精進。

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